最新のDSM-5分類では発達障害は「神経発達症」という表現に変更されています

当記事は作成中です(医療者向けに描かれた記事をリライト中)

 現代社会においては、発達障害の傾向を持つ人が爆発的に増えています。分かりやすい自閉症であれば、家族が気づいて相応の対応につながることが多いわけですが、アスペルガー(最新の分類概念ではASDに統合済み)に代表される広汎性発達障害や学習障害の一部は本人も家族も気づけないまま成人し、大学に入ってからあるいは社会に出てから周囲の環境に適応できずに苦しんでいる方が大勢いらっしゃいます。

最新のDSM-5では「神経発達症」という診断名に変更されています



 こうした方々が様々な症状を抱えて医療機関を受診しても、境界例(グレーゾーン)の方はもちろんのこと医療者に気づいてもらえるケースは少ないと思われます。精神科や心療内科においても発達障害に対する判断は医師によって分かれるケースがあります。

 私はかつて整形外科に勤務していたとき、運動器の症状を訴える患者さんの中に発達個性の問題が隠れている症例に数多く遭遇してきました。しかし当時はそのことに気づける医療スタッフは私以外に誰もいませんでした。

 なぜ気づくことができたのか?何を隠そう私自身が発達個性であり、発達個性であるが故の生きづらさを克服するための試行錯誤をずっと続けてきたという過去があるからです。

 もちろん発達個性の傾向を持つ医療者のすべてが私と同じように“気づける”わけではありません。私自身の特殊な生い立ち(病院の中で生まれ育った)がベースにあって、なおかつ学生時代から心理学への興味を強く持っていたという要因が重なることで、たまたまそのような慧眼が宿ったのだろうと推考されます。

私(当院院長)がどのようにして自身の発達個性と向き合い、そしてどのようなカウンセリングを信条としているのかについてはこちらのブログ「病院で生まれ育った?」~その3までをご覧ください。

 当院において発達障害の話をするときは、必ず以下の説明をしてから患者さんにお話ししています。

『ぼくはそもそも発達障害という用語の響きに違和感を持っていて、なるべく発達個性と呼ぶようにしています。こうした方々の特徴は脳の神経ネットワークの働きに極端な偏りが生じやすいという共通基盤があり、その実態は障害というよりも、個性として見なすべきものです。しかも天才的な才能を秘めていたり、目に見えないヒーリングパワーを持っていたりすることが多いんです』

 目の前の患者さんが発達障害である場合はもちんのこと、その家族や関係する人に可能性がある場合においても、必ずこの話をしてから、具体的なアドバイスをするようにしています。

 今という時代、発達個性の方々がどんな脳疲労を抱えて、どんな症状を発症して、どんな救いがもたらされるのか、その具体例についてはこちらのページで紹介しています。

「先生、今日は私の息子のことで相談が…。高校卒業後、就職と離職を繰り返していて、とうとう先月からは完全に引きこもり状態に…、先生、もしかしてうつ病じゃないかと心配で…、一度診てほしいのですが」

そう仰った母親の息子さんを実際に診てみると、私の診立てはうつ病ではなく、発達個性でした。下の画像はその息子さんを心療内科に紹介し、紆余曲折を経て障害認定に至ることができた実例です。現在はハローワークの障がい者窓口をとおして発達支援センターで就職に向けた準備を進めています。


この患者さんは障がい認定取得後も、BFI によるメンテナンスを継続されています。その理由を尋ねると「先生の治療をしばらくのあいだ受けられなかったとき、体調が元に戻ってしまってすごくしんどかった…。でも治療を受けると、やっぱり朝スムーズに起きられるし、活舌も良くなるし…」と、治療効果を実感していることが分かりました。

このように発達個性に対するBFI の意義というものは、脳疲労を回復させることで周辺症状を和らげることにあって、発達個性そのものを劇的に治すという次元ではありませんが、しかし発達個性を基盤に持って様々な症状に苦しんでいる方にとって、BFI による脳疲労の緩和および発達個性に関わる情報提供や生きていく上での適切な助言がどれほど救いになるか、そして本人はもとより家族がどれほど救われるか…、多くの医療者にそうした背景を知っていただければと思っています。

また発達個性はスペクトラムと呼ばれるとおり、非常に多彩で様々な次元が存在します。アスペルガーに関わる情報から「空気が読めないタイプ」と思われがちですが、中にはこれと真逆に「空気を読み過ぎてしまうタイプ」の発達個性もあります。

また痛みの臨床においては発達個性であるが故の、ある種“特異な能力”が自身の痛み回路に発現してしまうと、非常に強固な慢性痛となって本人を苦しめるケースがあります。慢性痛のみならず、うつ病や認知症においても同じ背景があります。これらについても当日詳しく解説させていただきます。